温泉コラム 掛け流し温泉と循環式温泉 1
温泉施設には、古くからある掛け流しと近代の循環式、大きく分けて2種類の方式があります。 今回はその違いと互いの利点と問題点を考えてみたいと思います。温泉は元々掛け流しが当たり前でした。それも「源泉掛け流し」です。源泉掛け流しとは、自然に湧き出したお湯を何も手を加えずに利用する方法です。「掛け流し」とは、一度貯湯タンクに入るなど、お湯の温度の調整の為、加温したり加水したりと適温に調整されたりしたもの、どちらも新しいお湯が湯口から注がれ湯船から溢れ出る方式です。一方循環式温泉とは、ほとんどが源泉をポンプなどで汲み上げられた後、湯船と機械室にある濾過器で不純物を濾し取り温度調整と殺菌を繰り返し湯船に戻っていく方式を言います。掛け流しの良い所は、湯船の泉質が温泉分析書に近いところでしょう。しかしこの方式は、今の時代完璧なのでしょうか?①湯船の大きさ、②新湯が注ぎ入れる量、③1日の来館者数=営業時間、に大きく影響されます。仮に大きさが10平方の湯船に新湯が少しだけしか注ぎ込まれていないと言う現場もよくあります。仮にもっと沢山のお湯が注ぎ込まれていたとしても、浴槽の温度や形状などで、新湯の流れ道が発生しそのまま湯船の外へ、お湯が全て入れ替わる事は難しいのです。試しに家でラーメンの食べ残しスープが少し入った丼に上から水を出してみて下さい。丼に対して蛇口から出る水の量はとても多いですね、しかし丼の中が透明になるまでかなりの時間がかかると言う事が家庭でも実験できます。だからと言って掛け流し温泉を否定している訳ではありません。これらの方式に囚われているメディアやインフルエンサー、温泉ファンが多い事です。掛け流しだけが真の温泉という事は絶対ないのです。塩素殺菌剤が入るとか?入らないとかと言った話もありますが、掛け流しだから塩素が入っていないなんて事はありません。酸性温泉以外のほとんどは、井戸から湧出された時点で次亜塩素が投入されています。私が考えるのは、不特定多数の人が入浴する浴場では、適切な安全管理がもっとも必要だという事です。